第5回 地球最大のCO₂回収装置は何だろう

「大気中のCO₂を吸い取る装置」と聞くと、どんな姿を想像するでしょうか。巨大な機械や、複雑な配管のある工場を思い浮かべるかもしれません。けれども、私たちの身近には、音も立てず、電気も使わずにCO₂を取り込み続けているものがあります。それが、植物です。

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葉っぱは、小さなCO₂回収装置

植物は葉からCO₂を取り込み、根から吸い上げた水と太陽の光を使って、自分の体をつくります。これが光合成です。空気中にあった炭素は、幹や枝、葉、根へ移り、木が育つほど、その中に蓄えられていきます。

つまり、木が太くなり、枝が伸びることは、空気中の炭素が目に見える形へ変わっているということです。一本の木の働きは小さく見えても、森林全体では、無数の葉が毎日CO₂を取り込んでいます。森は、地球がもともと備えている大きな回収装置なのです。

炭素は、木から土へ移っていく

では、木が取り込んだ炭素は、ずっと幹の中にあるのでしょうか。実は、そうではありません。葉や枝が地面に落ち、細い根が枯れると、虫や微生物が少しずつ分解します。その過程で、一部の炭素は空気へ戻りますが、別の一部は土の中に残ります。

たとえるなら、木は空気中から炭素を集める入口で、土はその炭素を受け取る貯蔵庫です。木と土は別々に働いているのではなく、根や落ち葉を通してつながっています。森の本当の力は、目に見える木々だけでなく、足元の見えない世界にもあるのです。

植えるだけでは十分ではない

ここで大切なのは、木を植えた本数だけを成果にしないことです。植えた木が土地に合わず枯れてしまったり、火災や伐採で失われたりすれば、蓄えた炭素は再び大気へ戻ります。根を支える土が傷んでいても、木は長く育ちません。

さらに、森林を守ることが地域の暮らしと両立しているかも重要です。生活のために木を切らざるを得ない状況のままでは、森を守り続けることはできません。木を育てること、土を守ること、そこで暮らす人びとの生活を支えることを、一緒に考える必要があります。

では、炭素を受け取る土の中では、何が起きているのでしょうか。次回は、微生物や菌類、ミミズなどが働く足元の世界から、「土は生きている」という意味を考えます。

HFI代表 福井 誠

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