ネパールは、統計によれば、世界でも最貧国に分類される国です。 国連のデータでは貧困率(一日1.25ドル以下で生活する人口の割合)が、42%となっています。 山間の農村部では、現金収入を得る道はほとんどなく自給自足のような生活を送っています。
カースト制度が、徐々に薄れている面はあるというものの、その差別から生まれてきた様々なしわ寄せが存在しています。 また、歴史的に男尊女卑の国であり、法律上は平等となっていても厳然と女性への差別があります。 貧しい家庭では、子どもを労働力として売ってしまうというケースも多々あります。 工場の労働力として、家政婦のような働きをする労働力として、またその名目で、実際はインドの売春宿に売られていくということもしばしばです。
売らないまでも、子どもを生活のために働かせたり、家にいても十分に食べていけないので子どもが都市に流れて働くなどのケースも数え切れません。 ILO-IPEC(児童労働撤廃国際計画)は、ネパールには約260万人の児童労働者がいると推測しています。 また、約90万人の子どもが労働搾取されているにもかかわらず不払いで働いていると言われています。
ネパールでは、まだ女性に対する差別もかなりあります。 たとえば死別、離縁などに会った女性は、実家に戻れないというしきたりがあり、行き場を失う人がたくさんいます。 また災害などで畑等を失った人々や、山間部での生活が苦しく、成り立たたないという人も多くいます。
そんな人々が、平野部、町に流れてきます。 しかし、そこで職を得られたとしても、工事現場の仕事やごみ収集などであり、物乞い同然の生活をしなければならない人がほとんどというのが現実です。 多くの人は、川沿いなどの土地を不法占拠し、スックンバシと呼ばれるスラムを形成して住んでいます。 そこに、掘立小屋とも呼べないような家を建て、不衛生な状態の中で暮らしています。